Apple Time   |   ニューヨーク近郊で障害児を育てる親の会

Apple Time スペシャルニーズを持つ子供達と家族の会

日常生活の紹介 中学生以上

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自閉症スペクトラムを持つ高校生男子

私の息子は現在19歳です。ニューヨーク州では支援を必要とする生徒は、高校で21歳まで引き続いて教育を受けることができます。登下校の交通手段は無料で提供され、運転手の他にもう1人の補助員が同乗するスクールバスで毎日通学しています。
彼は生徒約2500人が在籍するウエストチェスター地区で最も規模が大きい高校に通学しています。彼が在籍する支援学級は26人の生徒に対して、先生2人および補助員8人の構成で授業が行われます。

授業は、生徒の可能性を引き出し更に伸ばしていこうとする方針に則って、一人一人に個別のスケジュールが組まれます。個々のスケジュールは、生徒の発達の現状、今後の到達目標、期待される成果などを、両親と各教科の先生方を始めとする学校の関係者とで話し合って作成したIEP(個別教育プログラム)を基に構成されます。
幼少の頃から数字に強い関心を示していた彼は現在も数学を得意にしていて、Mathはメインストリーミング(一般のクラス)の授業を受けています。 もし授業についていけないようなら、彼の補助をする人を付ければ彼はその授業についていけるようになるのか、あるいはクラスを変更する方が良いのか、などの善後策を講じるために、両親と教科の担当の先生方を含めた学校の関係者が話し合う機会が再び持たれます。

学科以外の時間の多くは、日々の生活を送るために必要な基本的なライフスキルを身に付けるための、“THE SAIL PROGRAM―Strategies for Adult Independent Living”と呼ばれる授業に割り当てられます。SAILクラスではフィールドトリップなどの実地教育の機会を通じて、日常の一般的な知識を繰り返し学びます。
消防署、警察署、美術館などの見学や、レストランでの食事やショッピングなど、独立した社会人として必要な能力を身に付けさせるための多彩なプログラムが用意されています。

実際に何かをやってみて、成功したり、時には失敗したりする体験を積み重ねることによって、彼らは少しずつ自信を持つようになり、様々な事柄をより深く考えることができるようになります。勉強以外にもいろいろと面白いことができるので、彼は学校に行くことをとても楽しみにしているようです。
授業以外の活動としては、週2回Special Olympicsに参加しています。これは障がいを持つ生徒達によるスポーツ活動で、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどを楽しみながら練習し、他の学校との交流試合もしばしば行われます。

彼は週1回の個人レッスンでピアノを習っています。最初のうちは、本当に彼に弾けるものだろうかと随分心配しましたが、教えて下さる先生は、小さな子供達や障がいを持つ人達など、あまり言葉を使うことが得意でない生徒を教えるのがとても上手な先生で、そのおかげで彼の腕前も確実に少しずつ上達して、今ではピアノが大好きになりました。

彼にはまだ時々こだわり行動があります。それでも、決して視線合わさず、何事にも無関心で、会話の全く無かった彼の幼少期を思い出してみれば、今は殆どいつも笑顔でいてくれますし、情緒面も格段に安定していると思います。
今日も彼がHAPPYで一日過ごせた、一日の終わりにそう思うことができれば、それで家族は満足です。



     

発達障害を持つ高校生男子

毎朝スクールバスで学校区の高校内の支援学級に通学。
主要課目はすべて支援級で授業がおこなわれますが、音楽、体育、アートなどの選択課目は一般のクラスに参加します。
授業中に言語療法や作業慮法などのセラピーがIEP(個別教育プログラム)で決められたように個人またはグループで取り出しや先生がクラスに入ってくる形で行われます。

ランチは学校のカフェテリアで一般のクラスの生徒に混じって一緒に食べています。
授業の一環にライフスキルが組まれていて、将来の自立に向けて、掃除、洗濯、買い物、電話の受け答え、買い物のしかた、お金の数え方、バスの乗り方、衛生面での注意や食事についてのマナーなどいろいろ習います。
また、毎週クッキーやブラウニーなどのデザートやベーグルサンドイッチなどの軽食を作りクラスで販売し、学校の先生や生徒が買いにきます。そこで社会性の勉強やお金の計算などの生きた授業を受けることになります。

フィールド・トリップと呼ばれる遠足・社会科見学が年に数回あり、公共のバスや電車に乗って映画館にいったり、レストランで食事をしたりします。
また、将来の就労の訓練プログラムに希望者は参加することができ、公共の図書館や老人ホームなどでお手伝いをすることもあります。
これらのプログラムはすべてIEPで概要が話し合われたもので、個々のプログラムの参加・不参加はそのつど親の同意で決定されます。

課外活動として、学校ではさまざまなクラブ活動があり参加は自由です。こどもは年間を通して陸上部にはいっており、ほとんど毎日のように練習や試合に参加し 遅いスクールバスに乗って帰宅します。

一般の学校の部活とは別にSpecial Olympicsと呼ばれる障害者が集まって一緒に運動をするプログラムがあります。
全国的なものだと思いますが、ウエストチェスター郡のなかで地域的に近い学校区がいくつか集まってチームとなり、季節によってさまざまなスポーツを楽しみます。送り迎えは専用のスクールバスが用意され、補助員がつきます。
また、South East Consortiumというスペシャルニーズをもつ子供と大人を対象にした有料のリクリエーションプログラムを利用して、放課後または週末にスポーツやパーテイなどを楽しんだこともあります。

夏休みは毎年Tokyo-Frost Valley YMCAの泊りがけのサマーキャンプに参加して楽しんでいます。
子供にできる範囲ですこしずつ挑戦しながら楽しい夏を過ごしています。 



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